12月雑記
土浦市桜町の「佐賀医院」で診療されている佐賀純一先生。ご存知ですか?
私は三十数年前、東京新聞日曜版のコラムで知りました。
一読「なんてロマンチックなんだ!」とその文章にたちまち魅了され、
ファンになってしまいました。
先生はお医者さんであると同時に小説家でもあったのです。
しかも三代続いたお医者さんの家系で、父上の佐賀進先生は見事な絵を
お描きになっておられ、芸術的な才能も受け継いでいらっしゃると思います。
それだけにとどまらず先生は東洋医学に造詣が深いのです。
佐賀先生は漢方療法を行っていらっしゃいますが、
私には「漢方に惚れぬいている」様に見えます。
かなり以前TV(NHK・Eテレ)で「漢方薬を健康保険から除外する動きに
反対するシンポジウム」のパネリストとして佐賀先生が出演されておられました。
「漢方でなければ治らない患者もいるんだ」と机を叩かんばかりに
悲憤慷慨されていらっしゃる佐賀先生の様子を見て正直感動しました。
漢方を心から愛している真実の「漢方医」の姿をそこに見たからです。
十年ほど前、佐賀先生に診察して頂きたい患者さんが居て佐賀医院に電話した
事がありました。私は先生に全く面識が無かったので職員の方を通じて
お話しして頂こうと思っていたのです。
ところが思いがけず電話口に先生が出られて
「折角のお話だけど私は、いざという時診療カバンを持って駆けつけられる範囲の方しか診ていないんです。ちょっと待って」
とおっしゃいました。
そして電話の向こうからひたちなか市周辺の漢方診療している医療機関の
名簿を読み上げて下さったのです。その誠実さにまた感動してしまいました。
そんな佐賀先生を世界的に有名にする「事件」がありました。
2003年7月7日のウォールストリートジャーナル紙上でボブ・ディラン作の歌詞が
佐賀先生の小説の盗作ではないかと報じられたのです。
海外メディアから「ボブ・ディランを訴えますか?」など取材を受けましたが
先生の答えは
「私は芸術家としてボブ・ディランを尊敬しています。もし私の作品が彼にインスピレーションを与えられたなら光栄に思いこそすれ訴えるなど考えておりません。」
というものでした。これで「盗作騒ぎ」は沈静化し、佐賀先生の対応は
感動をもって受け取られ代表的日本人として一部海外メディアで紹介されました。
しかし地元土浦でも先生を知る人は少ないと感じます。
10月31日についに佐賀医院を訪問して憧れの佐賀先生にお会いしましたが
事前に数名の地元の方に話しても全員先生のことを知りませんでした。
それでも先生は真に魅力的な方で十年の知己の様に暖かく迎えていただきました。
私がボブ・ディランの話題を振ると「ノーベル賞受賞はびっくりしたが
(盗作問題は)忘れるのがいいことだ」とのお話でした。
あくまでも感動的な先生でした。
そして私は茨城県民として先生を誇りに思っているのです。